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三菱UFJキャピタル株式会社
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“Real Voices”“リアル ボイス”

株式会社FFRI
代表取締役社長 鵜飼 裕司 氏

挑戦、日本発のサイバーセキュリティ確立

株式会社FFRIはサイバーセキュリティの分野で世界的に名高いエンジニアである鵜飼裕司氏(現 代表取締役社長)が設立した企業です。基礎研究から技術開発、製品開発など、サイバーセキュリティに関するビジネスを展開し、2014年には東証マザーズ上場を果たすなど、着実な成長を続け、国内随一の技術力と唯一無二といえる存在感で注目を集めています。創業に至る経緯や、2008年から続く三菱UFJキャピタルとの関係などを、鵜飼裕司氏にお話をお聞きしました。

創業に至る経緯

~ 日本発のサイバーセキュリティ確立を目指して

小学校5年生のときに買ってもらったコンピュータをきっかけに、プログラミングにのめり込む少年時代を過ごしました。
現在につながる大きな出来事があったのは大学院生の頃。研究で使っていたワークステーションがハッキング被害を受けたのです。自分なりに調査してセキュリティ脆弱性攻撃のソースコードらしきものを入手して調べてみたら、コードの内容がまったく理解できませんでした。プログラミングスキルには自信があったので、大きなショックを受けました。同時に、これは奥の深い世界だと興味を抱いたのです。
就職時もセキュリティの研究や技術開発の仕事がしたかったのですが、当時の日本には海外製品を輸入展開する企業ばかり。ですので、大学院での研究テーマである「医用画像工学」が活かせる企業に入社しました。
仕事と平行してセキュリティの研究は続けました。海外のエンジニアや研究者ともやりとりをするようにもなり、研究を続けているうちに米国のセキュリティ企業eEye Digital Securityから誘われるようになりました。当時、セキュリティ分野の著名なエンジニアが世界中からそこに集結していたのです。こんな機会はそうそうないと、渡米を決意しました。
米国での日々は基幹製品のコアエンジン開発を担当するなど、非常に充実していました。一方で、ビジネスとしてはレバレッジが効き、なおかつもっとも重要な基礎研究や技術開発が米国に独占されている状況には危機感も抱いていました。日本特有のセキュリティリスクが発生しても、自国内で対処できないのですから。思い悩んだ末、誰も手を挙げないのなら自分がやるしかない、そんな使命感から起業を決意し、帰国したのです。

三菱UFJキャピタルとの歩み

~ 今があるのは、厳しい局面での支援があったから

起業してからは、当座の資金を得るために企業の研究開発案件を個別に受託しながら、技術の種を開発していました。その中で2008年に「これは!」というものができあがりました。当時はまだ脅威が顕在化していなかった標的型攻撃に対する防御技術で、現在、当社の主力製品のひとつである「FFR yarai」のベースになったものです。
これを製品化して勝負したい。でも、そのためには本格的な体制も資金も必要でした。ちょうどそのタイミングで三菱UFJキャピタルとの出会いがありました。
技術的には自信があり、グローバル企業がまだ手を付けていないところをゼロから作り上げていくことを目指していたものの、一介のベンチャーでしかなかった当社にそんなことができるのかという懸念も当然あったと思います。しかし三菱UFJキャピタルには「日本発のサイバーセキュリティを確立する」という私たちのビジョンをしっかりと共有していただき、出資の決断をしていただきました。
さらに2011年に増資をいただいた時は、今後の事業の継続と発展にどうしても必要な局面でしたので、本当に助けられました。この時の支援がなかったら、今の当社はなかったと断言できます。

三菱UFJキャピタルの特色

~ 新しい技術で社会に貢献しようとする同志的存在

三菱UFJキャピタルは価値の高い新しい技術を見極め、それを世に送り出すことで社会に貢献していこうというパッションが非常に強いと実感しています。ベンチャー企業と一緒になって考え、一緒に手足を動かして汗をかいてくれる、実に頼りになる存在といえるでしょう。
東証マザーズ上場の際にもさまざまな側面から実に有効な支援をしていただきました。上場するまでは、月次の取締役会に同席していただき、情報を密に共有しながら、長期的な資本政策のアドバイスをいただきました。また、販売アライアンス候補となる企業をご紹介いただくなど、実務レベルでも実に手厚いサポートを実施していただきました。
近年、サイバー攻撃はより高度化し、その被害も深刻化しています。これはサイバー犯罪が多大な利益を生むということが広く知れ渡るようになり、アンダーグラウンドのマーケットが急速に拡大しているからです。しかも、安全保障上の大きなテーマにもなるなど、サイバーセキュリティの重要性は増す一方です。
当社の技術や製品は、政府や官公庁、大手企業など、さまざまな場所で使われるようになっています。新しい脅威が続々と登場するなか、手前味噌かもしれませんが、当社は独自の技術と知見でそこに対処することができる我が国で唯一の存在です。当社のサポートを通じて、三菱UFJキャピタルもサイバー攻撃、サイバー犯罪の脅威から日本を守ることに大きな貢献を果たしているわけで、いわば同志的存在ともいえるでしょう。

次代の起業家、経営者へのメッセージ

~ 自らの“芯”は何なのか、常に再確認する

自分たちの事業が社会にどのように貢献できるのか、それを自らの“芯”として強く意識することが大事だと考えています。そこがしっかりしていれば、どんな困難があったとしてもそれを乗り超えるモチベーションになるとともに、どう乗り越えればいいのか、何をすべきなのかという行動にブレークダウンすることもできます。
人間は基本的に弱いもの。苦しいと、つい“芯”を見失ったり、ブレてしまうこともあります。でも、苦しい時だからこそ、自らの“芯”を自問自答し、何のためにこの事業をしているのか、再確認することが大切だと思います。私自身、「世界トップレベルのセキュリティ・リサーチ・チームを作り、コンピュータ社会の健全な運営に寄与する」ということを自らの“芯”として、ことあるごとに自らに問いかけてきました。もちろん、今でもそれを続けています。

2016年6月 取材

会社名

株式会社FFRI
http://www.ffri.jp/

主な事業内容

コンピュータセキュリティ、ネットワークシステムの研究、コンサルティング、情報提供、教育 コンピュータソフトウェア及びコンピュータプログラムの企画、開発、販売など

沿革

2007年 7月 株式会社フォティーンフォティ技術研究所 設立
2008年 3月 本社を東京都新宿区天神町に移転
12月 本社を東京都新宿区矢来町に移転
東京都新宿区天神町にR&Dセンター 設立
2009年 5月 標的型攻撃対策ソフトウェア「FFR yarai」販売開始
2010年 7月 沖縄R&Dセンター 設立
8月 組込機器のセキュリティ堅牢性検査ツール「FFR Raven」販売開始
2011年 7月 マルウェア自動解析システム「FFR yarai analyzer」販売開始
2012年 6月 本社事務所、R&Dセンター、沖縄R&Dセンターを東京都渋谷区恵比寿に移転・統合
11月 Web Browser Protection「FFRI Limosa」販売開始
2013年 6月 「株式会社FFRI」に社名変更
2014年 1月 マルウェア自動解析システム「FFR yarai analyzer Professional」販売開始
9月 東京証券取引所マザーズに株式上場
12月 Android用セキュリティ診断アプリ「FFRI安心アプリチェッカー」販売開始
2015年 4月 個人PC向けセキュリティソフトウェア「FFRI プロアクティブ セキュリティ(製品愛称:Mr.F)」販売開始