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三菱UFJキャピタル株式会社
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“Real Voices”“リアル ボイス”

株式会社アスタリスク
代表取締役社長 鈴木 規之 氏

「おもしろがる姿勢」がすべてのモチベーション

スマートフォンに装着するバーコードリーダーや無線自動識別(RFID)リーダーの「AsReader」シリーズを展開する株式会社アスタリスク。スマホの可能性とポテンシャルにいち早く着目し、専用機が主流だったこの領域に、スマホ装着型リーダーデバイスを打ち出した大阪の会社です。2021年9月に東証マザーズ上場を果たし、2023年2月には研究所兼大阪事務所のAsTech Osaka Buildingを竣工するなど、躍進を続ける同社を率いる代表取締役社長の鈴木 規之氏に、これまでの歩みや三菱UFJキャピタル(以下、MUCAP)との関係性、今後の展望についてお聞きしました。

アスタリスク設立に至る経緯

~ ビジネスで人に喜んでもらいたい

小さな頃から論理的にものを考えるのは得意で、論理クイズなどもさっと解けるほうでした。大学では数学を専攻しましたが、そこでいい先生に出会いました。どんなことも「これはおもしろい」という人で、そういわれて「おもしろいのかな?」とやってみると、確かにおもしろくなってくるもの。それ以来、何事もおもしろがる姿勢を大事にしています。
大学院卒業後は東レに入社してシステム関係の仕事に従事し、お客様企業のシステム開発を担当していました。ご注文をいただいたら作って仕上げて納品し、お金をいただくというサイクルを通じて、お客様に喜んでいただけ、次の仕事にもつながる。これが自分としては楽しかった。会社員としてこの道をまっとうしていくのも悪くないと思っていました。
ある時、第一子が生まれるというタイミングで、父が病に倒れ、人生の半ばくらいまで来たと自分を見つめ直すようになりました。さらに、ある基幹システム再構築というプロジェクトでリーダーとして動いていた頃、営業幹部から「システム部門はこちらのいうとおりのものを作っていればそれでいい」といわれたことがありました。こちらとしてはきちんと利益を出して社業に貢献していたのに、そんな言い方をされる謂れはないと発奮しました。やはり自分はビジネスで人に喜んでもらいたいーーそう思い至ったことが起業を決意したきっかけになります。

三菱UFJキャピタルとの出会い

~ 最初の資金調達がビジネスの転機に

創業してからしばらくはソフト開発の仕事をしていました。2008年頃からスマホの可能性に賭けてみようと考えて、この分野に乗り出してみたものの、業績的には厳しい時期が続きました。なんとか状況を打破しようといろいろ動いている中で、たくさんのVCと面会したのですが、当時は投資をしてもらうとはどういうことなのか、知識も情報もなく手探りの状況で、あまりうまくいきませんでした。
そんな状態が続いていたある時、当社のCFOの紹介でMUCAPの佐藤さんにお会いしたのです。以前の経験からVCの人はちょっと怖いというイメージがあったのですが、佐藤さんは最初から親身にこちらの話を聞いてくれました。そしていろいろと相談しているうちに、最初の資金調達に協力していただけることになったのです。
当時のことは実はあまり覚えていません。まったく余裕がなかったというのが正直なところで、資金調達はできたものの、人様のお金をお預かりしているという感覚でした。ただ、この資金調達の1、2ヶ月後くらいから、金融機関から融資のお話しがあったり、いろいろなことがうまく回り始めるようになりました。お客様への提案も、こちらに少しは余裕ができてきたからかもしれませんが、うまく決まりだすようになりました。今から振り返れば、潮目が変わったのは、間違いなくこの資金調達だったと思います。

三菱UFJキャピタルとのリレーション

~ どんな相談にも親身に応じてもらえた

他のVCとMUCAPの異なる点を問われると答えるのが難しいのですが、MUCAPの佐藤さんは、とにかく話がしやすい方でした。こちらのどのような相談にも親身に応じてくれました。毎月の取締役会にもオブザーバーとして必ず参加していただき、これは私には非常にプラスになりました。というのも当時の経営メンバーにとっては、第三者としてVCが取締役会に参加しているということで、おかしなことや曖昧なことは報告できないと、良い意味でプレッシャーになっていたようなのです。おかげで社内のムードが引き締まったものになりました。また、取引先としてさまざまな企業を紹介していただいたことも何度もあり、ネットワークの広さはさすがにメガバンク系VCだと思ったものです。
上場に向けて証券会社や監査法人からさまざまな指摘を受けた際は、こちらとしては初めての事柄ばかりでとまどうことも多かったものの、的確なアドバイスをいただいたおかげで、うまく対応することができました。

今後の展望

~ スピーディに、新しいことにチャレンジ

これまでモノ認識とモバイルをテーマに、バーコードやRFIDなどのリーダーデバイスを展開してきましたが、これはこれで世界展開を進めていくと同時に、別領域のビジネスも進めようとしています。今、積極的に動いているのは「AsReader GoMA」という顔認証を用いたスマートロックのセキュリティソリューション。入退室の履歴を記録したり、勤怠管理システムとの連携なども可能で、セキュリティと利便性という相反する要素を両立できるソリューションに仕上げました。バックエンドのシステムも含めて自社提供するもののほか、出資している会社の後付けスマートロックデバイスと組み合わせたサービスとしても展開しています。
また、革新的なAIチップを開発する会社と組んで、世界最小クラスのAIカメラを展開しようというプロジェクトも動いています。
とにかく仕事が楽しくて仕方ないという状態がずっと続いているのは幸せなことと思います。これからもスピード感を持って新しいことにチャレンジしていきたいですね。

若手経営者へのメッセージ

前述したように、何事もおもしろがろうとする姿勢があれば、どんな困難も乗り越えられるはずです。また、そんな姿勢は周囲にも大きく影響してくるものと思います。それに、厳しい時期に必死にもがいた経験は、後になって必ず生きてくるものです。

2023年2月 取材

会社名

株式会社 アスタリスク
https://www.asx.co.jp/

主な事業内容

AsReader事業(自社製品AsReaderの企画、開発、販売)

  • 画像認識、バーコード、RFID、センサーなどの「モノ認識」技術を用いたAsReader
  • iOSやAndroidを中心としたモバイル端末と連携するAsReader
  • 上記を用いたパッケージアプリケーション
  • その他、業務用製品の受託開発

システムインテグレーション事業(業務関係のSI事業)

  • 画像認識、バーコード、RFID、センサーなどの「モノ認識」技術を用いた受託開発事業
  • iOSを中心としたモバイルアプリの受託開発事業
  • 「モノ認識」技術を用いた業務コンサルタント
  • モバイル端末を用いた業務コンサルタント

沿革

2006年 8月 滋賀県大津市に設立
2007年 1月 企業向けモバイルセキュリティのサービス業を開始
2008年 4月 本社を大阪市淀川区に移転
「モバイルソリューションのアスタリスク」を会社のコンセプトとする
2010年 3月 日本初のiPhoneなどを活用したモバイルPOSシステム「Salasee」を発表
7月 日本初のスマートフォン用決済アプリケーション「PitPay」を発表
11月 東京都港区に東京事業所を開設
2012年 5月 中華人民共和国大連市に100%出資の子会社「大連明日星科技有限公司」を設立
2014年 6月 バーコードリーダー・RFIDリーダーライター「AsReader」の販売を開始
2015年 1月 米国カリフォルニア州トーランスに100%出資の子会社「AsReader, Inc.」を設立
2016年 3月 ベンチャーキャピタル5社の引受による第三者割当増資を実施
2017年 10月 中国・深セン市に研究開発技術センターを開設
2018年 2月 オランダ・ロッテルダムに100%出資の子会社「AsReader Europe B.V.」を設立
2019年 5月 「AsReader,Inc.」の事務所をアメリカ合衆国オレゴン州ポートランドに移転
6月 東京事業所を港区から中央区へ移転
2020年 11月 名古屋事業所を開設
2021年 9月 東証マザーズ上場(証券コード:6522)
2023年 2月 大阪市淀川区に研究所兼大阪事務所としてAsTech Osaka Buildingを開所