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三菱UFJキャピタル株式会社
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“Real Voices”“リアル ボイス”

株式会社スマレジ
代表取締役 山本 博士 氏

店舗向け業務システムのプラットフォームを目指して

株式会社スマレジはクラウド型POSレジシステム「スマレジ」を展開するITベンチャー。スマレジはリーズナブルな初期費用や多様化する決済方法への柔軟な対応、直感的に操作できるUI/UXなどの特色が数多くのユーザーに評価され、有料比率19%超(2020年4月期現在)とフリーミアム型SaaSとしては驚異的な支持を得ています。このスマレジを率いる代表取締役の山本 博士 氏に、創業から現在に至る経緯や三菱UFJキャピタル(以下、MUCAP)との関係、さらに今後の展望についてお聞きしました。

創業に至る経緯

~ 受託開発からサービス提供型のビジネスモデルへ

スマレジの源流には、創業者と常勤監査役の二人がフリーランスでホームページのデザイン制作を手がけていたチームがあります。当時、私は仲間と音楽スタジオを運営しており、そのホームページ制作を依頼するユーザーとして彼らと出会いました。意気投合して交流が始まり、インターネットについていろいろ教えてもらううちに、これはおもしろい、自分もこの世界に飛び込もうと考え、プログラミングを学ぶようになりました。そして彼らが法人化するというタイミングで「いっしょにやってみないか」と声をかけられ、ITエンジニアとして合流することになったという次第です。
法人化してからしばらくは受託案件がメインでしたが、リーマンショックの影響で仕事が減り始めてきたときに、このままではまずい、なにか新しいチャレンジをしようということで、システムのパッケージ化に取り組むようになりました。その中のひとつがスマレジです。POSシステムは受託開発をしていた時代にドラッグストア向けシステムを作ったことがあり、なんのために使われ、どのような機能が必要なのかという、いわば“土地勘”がありました。また当時の業務システムはデザイン性を意識したものがほとんどなく、使いにくいのが当たり前だったところに、ホームページのデザインで培ってきたUI/UXを組み込み、当初からクラウド対応やスマホアプリとして考えていたところが、競合に対する優位点になったと思います。もっとも、私たちからすれば、自分たちの持ち味を活かそうとしたら、ごく自然にそういうプロダクト、サービスになったというのが正直なところです。

三菱UFJキャピタルとの出会い

~ 厳しい時代を乗り越えるアドバイス

スマレジをスタートさせた2011年から2013年頃というのが、経営的には一番厳しかった時代でした。エクィティで資金調達するという発想がまだなく、自己資金と売上と銀行から借り入れることくらいしか知識がなかったからです。リーマンショックの影響も大きかったということもあります。そこでいろいろ調べていくうちに、VCの協力を得て資金を調達するという方法もあるということがわかり、手探りで事業計画書をまとめてVCを回ったことがあります。そのときはまだ私自身がどのようにVCと付き合えばいいのか腹落ちしておらず、プレゼン自体もあまりうまくなかったのでしょう。まったくいい反応は得られませんでした。
そうこうしているうち、2013年にスタートアップのイベントに登壇する機会を得ました。その頃はなんとか状況を打開しようと、お声がけがあればどんなものでも「出ます」という姿勢でした。そこでMUCAPの佐藤さんと出会うことになります。そのときはごあいさつ程度だったのですが、私たちに興味を持ってくださったのか、いろいろとアドバイスをしていただくようになり、翌年にはカード会社を紹介していただくなどのネットワーキングにも尽力していただくようにもなりました。それと期を同じくするように、少しずつスマレジのお客様が増えてきて、財務状態も改善していきました。こうして本格的なお付き合いがスタートしたというのが経緯になります。

三菱UFJキャピタルとのリレーション

~ コミュニケーションと熱量が他社とは違った

2016年には他のVCからお声がけいただくようになっていたのですが、他のVCとお話してから、MUCAPが他社とは明らかに異なっていたとわかるようになりました。それは私たちと関わろうという姿勢そのものでした。たとえば、出会ったばかりの頃からプロダクトとしてのスマレジに対して、さまざまなアドバイスをしていただきました。アーキテクチャとしてのあるべき論や、どのようなデータをどのように持つべきなのかといった技術的な深い部分から、カード会社のような協業先とどのように組んだほうがいいのかといったビジネス展開に至るまで、本当に親身になって私たちのことを考えてくれていました。
他のVCが営業的なアプローチから始まることがほとんどだったのに対し、MUCAPは出資の話よりも先にそのような議論をしていただけましたし、まったく知名度がなかった頃から、私たちを応援してくれる姿勢が明確でした。端的にいえば熱量とコミュニケーションがまったく違っていたということになるでしょうか。そういった理由でMUCAPのお世話になることに決めました。
その後、2016年にはストックオプション発行に先立って三菱UFJ信託銀行をご紹介いただいたり、上場に向けて会社としての体制を再構築するという局面では、著名な社会保険労務士の方をご紹介いただくなど、さまざまな面でサポートしていただきました。そして2019年2月の上場というゴールまで、伴走していただくことができました。

今後の展望

~ 店舗向け業務システムのプラットフォームを目指して

POSシステムは店舗向けの業務システムとして、中心的なポジションになっていくと私たちは考えています。毎日触るものですし、デイリーで売上や原価も把握できます。そこで、今考えているのはスマレジがプラットフォームとなり、その上でさまざまな店舗向けのソリューションが集まってくるようになったらいいなということ。店舗向けのアプリやサービスを作っているスタートアップはたくさん存在しています。スマレジがそういう人やものの受け皿となり、Win-Winの関係で互いに成長していけるようなエコシステムを構築したいのです。そのためにはVCも欠かせない存在です。もしかしたら私たちが投資する側に回ることも考えられますし、今後もMUCAPとはいいお付き合いを続けていきたいと考えています。
今、新型コロナの影響で店舗ビジネスは厳しい局面に立たされています。特に飲食業は先がまったく見えない状況です。私たちも上場企業として株価や企業価値を気にしなければならない立場にありますが、元々の出自であるITエンジニアとしての視点で飲食店を科学することで、このピンチを打開するヒントが得られるかもしれないと、実験的に飲食業にチャレンジしているところです。その意味では、上場したとはいえ、まだまだこれから。今はこのチャレンジの先に何が見えてくるのか、大変ではありますが、楽しみでもあります。

2020年8月 取材

会社名

株式会社スマレジ
https://corp.smaregi.jp/

主な事業内容

ウェブサービスの企画・設計・デザイン・開発・提供/スマレジ事業/データ収集・分析事業/通信販売事業

沿革

2001年 1月 大阪府岸和田市にて創業
2011年 8月 東京オフィス開設
9月 タブレット POSシステム「スマレジ」リリース
2015年 4月 ウェブ制作、システム開発などの受託事業をクローズし、サービス事業に一本化
2016年 11月 株式会社スマレジに社名変更
2019年 2月 東京証券取引所マザーズに株式を上場
2020年 7月 「スマレジ4」をリリース