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“Real Voices”“リアル ボイス”

GMOフィナンシャルゲート株式会社
代表取締役社長 杉山 憲太郎 氏
取締役会長 髙野 明 氏

キャッシュレス社会の実現を目指して

GMOフィナンシャルゲート株式会社(以下、GMO-FG)は、設立以来、対面決済専業でさまざまなキャッシュレス決済ソリューションを提供してきた企業です。決済情報処理センターと決済端末の両面から、業界の常識とされてきた高コスト構造を打破し、加盟店やユーザーに還元する低価格戦略でシェアを拡大。2020年7月には東証マザーズへの上場を果たしました。社長の杉山 憲太郎氏と会長である髙野 明氏のお二人に、三菱UFJキャピタル(以下、MUCAP)との関係、今後の展望などについてお聞きしました。

創業に至る経緯

~ 大手2強の寡占状態に風穴を開けるべく設立

髙野会長:当社はデビットカード(J-Debit)の通信・決済代行を行う情報処理センターとして1999年に設立された会社が前身になります。2010年にGMOペイメントゲートウェイ株式会社(以下、GMO-PG)の関連会社となり、2015年に「GMOフィナンシャルゲート株式会社」に商号変更した後、2016年9月にはGMO-PGの連結子会社となりましたが、業態としてはずっと対面決済のソリューションを提供してきた企業です。
私自身は社会人になってから営業一筋でやってきました。カシオ計算機を皮切りにさまざまな会社で営業を軸に仕事をしてきましたが、2010年に前身の会社がGMOインターネットグループ入りしたタイミングで入社し、社長に就任することになりました。当時、GMO-PGを率いていた相浦社長に、業績低迷していた当社を、営業力を活かして立て直してほしいと請われたことがきっかけです。私も相浦社長もかつては日本IBMに所属し、同じチームで仕事をしていたというご縁があったのです。

杉山社長:私は2001年にITエンジニアとして社会人のキャリアをスタートさせました。当時は金融機関の再編が盛んで、業界がダイナミックに動いていた時期です。ものづくりに携わりたいということと、お金の動きを把握したかったことから、日本IBMに入社し、金融系のシステムやそのアーキテクチャを開発する仕事を手がけていました。髙野や相浦社長の後輩にあたるわけです。
そうしてキャリアを重ねていくうちに、ものづくりのノウハウを活かし、サービスとして世に送り出す側に回ってみたいと考えるようになり、2014年にGMO-PGに入社しました。そこではEC分野を主戦場に、サービス開発に従事しながら経営ノウハウを学びました。そして2017年にGMO-FGにジョインしました。キャッシュレスがますます伸びていこうとするタイミングで、大きなビジネスになりそうな市況環境に魅力を感じたことと、髙野をはじめとするGMO-FGの人たちがとても魅力的だったことが移籍の理由になるでしょうか。ここなら強いチームが作れるのではないかと思ったものです。

三菱UFJキャピタルとの出会い

~ 背水の陣で差し伸べられた救いの手

髙野会長:当社の前身が設立された頃、対面決済の分野は先行する大手2社の寡占状態にありました。そういう業界は必ずコストが高止まりするものです。そこを突いて高コスト構造を打破し、低価格戦略を突き詰めればマーケットが獲得できるという目論見でスタートしたものの、厳しい時代が続きました。私が社長に就任してからも業績は芳しくなく、資金繰りには非常に苦労しましたね。2011年、これ以上の銀行借入は、当社の赤字と債務超過が親会社であるGMO-PGの連結対象に移転されてしまう状況に陥り、自力での資金調達が必要という局面に立たされたときに、成長をコミットしたうえで資金調達をする選択肢が浮かび上がりました。真の意味で背水の陣というわけです。そのときにGMO-PGの相浦社長に「いい人がいる」と紹介されたのがMUCAPの清水さんでした。
清水さんはGMO-PGも担当されていて、相浦社長の力量をよく承知されている方でした。後になって「ECは相浦社長のいうとおりに発展した。同じようなことをGMO-FGは対面決済でやるというのだから勝算は高い。なにより相浦社長が見込んだあなたが率いているのだから、まず間違いないと考えた」と話してくださいましたが、当時の私にとっては、本当に救いの手を差し伸べてくれた恩人という感覚でした。

三菱UFJキャピタルとのリレーション

~ 相手を信じ抜くことは、その人の何よりの力になる

髙野会長:MUCAPの清水さんは出会った最初から、一貫して私たちのことを信じてくれたというのが印象深いですね。こちらが困難な状況にあったにもかかわらず寄り添っていただいた。悩みや夢をシェアし、その過程で信頼関係を構築していくことができました。また、私たち業界を知ろうとする意欲も他のVCとは一線を画していました。とにかくこちらの話をよく聞いてくださるし、質問の量も多く、その質も高い。もうひとりMUCAPのアナリストの方もいらっしゃいましたが、その方も含め、会話の中で気付かされること、学ぶことがたくさんありました。
他のVCには、私たちのビジネスプランを完全否定して去っていく人もいましたし、以前にいた会社でお付き合いのあった事業会社系のVCでは、気前よく資金を入れてはくれるものの、すぐに彼らが取り扱う商品について「買ってくれ」と資金を回収しようとするようなところもありました。VCとはそんなものかと思っていたところ、MUCAPはまったく違っていました。少なくとも当社とはビジネスを超えて、人対人のお付き合いをさせていただいたと思っています。そこまで信じていただけると、意気に感じるというのか、こちらも中途半端なことはできないという気持ちになりますし、期待に応えようと実力以上の力が発揮できるものです。私はMUCAPの清水さんに、相手を信じ抜くことはその人の何よりの力になるということを学びました。

杉山社長:私も髙野から引き継いでMUCAPとお付き合いしてきました。月次の取締役会には必ず同席していただきましたし、上場前には他のVCを調整する局面も少なからずあったのですが、その際にはまずMUCAPに相談し、その都度、的確なアドバイスをいただきました。他のVCと話をしても「MUCAPさんはどう考えているのか」と必ず聞かれ、アドバイスされたとおりに話しをすると「ではそうしましょう」ということになる。清水さんの見識の深さには毎回助けられました。
また、髙野が話した通り、マーケットの環境から我々の成長戦略まで、本当によく理解しようと話を聞いてくれたという印象は強いですね。キャッシュレスの潮流がこの先どうなっていくのか、世相まで含めてしっかりと話を聞いて理解してくれたのはMUCAPくらいでした。こちらが「このタイミングだからこそ、こういう施策を打ちたい、ついては上場時期を少し伸ばしたい」と相談すると「それは伸ばすべき、社内を説得する」と即断いただいたこともありました。こうしたことを積み重ねて上場まで伴走していただけた。本当に感謝しています。

今後の展望

~ あらゆる業種・業態のキャッシュレス化を支援

髙野会長:上場を果たした今、資金調達の手段はマーケットからということになったわけですが、今後、ビジネスを拡大していく中でさまざまな選択をしていく場面が訪れるでしょう。その際に、MUCAPの企業を見極める眼力は私達の大きな助けになってくれるはずです。今後も、いろいろな場面でサポートしていただければと考えています。

杉山社長:現在、キャッシュレスにはフォローウィンドが吹いています。少子高齢化によって労働人口が減少していく中で、お金の管理のコストを下げることがますます求められており、キャッシュレスにはそれを推進するポテンシャルがあります。たとえば、世に数ある自動販売機には現金の回収や釣り銭補充などの物理的な手間やコストが必ずついて回りますが、キャッシュレス化することでそのオペレーション自体が削減できます。なおかつ、どの機械で何が売れているのかをリアルタイムで把握することも可能です。このようにキャッシュレスプラスアルファにチャレンジしていくということにも着手しており、MUCAPにシナジーを生み出せそうな協業先をご紹介いただいたりもしています。先日も『東証一部までお付き合いさせていただく』といっていただき、非常に勇気づけられました。今後も、これまでどおり、それ以上のご支援をいただければと思います。

2020年10月 取材

会社名

GMOフィナンシャルゲート株式会社
https://gmo-fg.com/

主な事業内容

クレジットカード、デビットカード、電子マネー等のキャッシュレス決済インフラ提供事業

沿革

1999年 9月 前身にあたる株式会社シー・オー・シー設立
2009年 11月 全株式を株式会社アイネスが取得
2010年 1月 GMOペイメントゲートウェイ株式会社が株式を取得し、同社の持分法適用会社となる
2015年 4月 商号を「GMOフィナンシャルゲート株式会社」へ変更
2016年 1月 主力商品であるハイブリッド型決済端末VEGA3000の販売を開始
9月 GMOペイメントゲートウェイ株式会社他を引受先とした第三者割当増資を実施し、同社の連結子会社となる
2017年 10月 組込端末による決済サービス立上げ、飲料メーカー・自販機メーカー等への営業活動を開始
2019年 8月 三井住友カード株式会社と合弁会社「GMOデータ株式会社」を設立
2020年 7月 東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場